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資料
ご家庭での子どもたちへの関わりのヒント(パート1)
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緊急事態宣言を受けての休校措置等で、子どもたちは一日中、家の中で過ごす日々を送っていると思いますが、どのように過ごされていますか。保護者の皆様もどうされているでしょうか。
視覚からも聴覚からもなかなか情報が入らない盲ろうの子どもたち、いつも通っている学校や保育所等に行けないことを疑問に感じたり、不安に思ったりしているのではないでしょうか。
また、周囲のご家族や先生方はどのように理解させるのか、日々悩まれていることと思います。そして、何より膨大な時間をどう過ごすのか、お子さんにとってもご家族にとっても悩むことが多いのではないかと思っております。そこで、家の中でこんなことができるかも、こんな遊びはどうかな、ちょっとした工夫で楽しく過ごせるのでは、といった情報を提供したいと思います。
1.料理、掃除、洗濯など家事を一緒にやってみましょう!
たっぷりの時間があるときは、お子さんのペースでじっくり一緒にやってみましょう。
まずは、今から何をするのかを伝えましょう。サイン、手話、音声を使ったり、実物を触らせたり、見せたりして、今からすることを伝えてからはじめると、お子さんも見通しを持ちやすくなります。たとえば、「洗濯をする」ということを、お子さんに伝えるときに、洗濯する物や洗濯機を触らせたり、洗剤の香りをかがせたりすることで伝わるお子さんもいると思います。既に、成人となっているA君のお母様に幼少期のことを思い出してもらったところ、「できることは一緒に何でもやるようにしました。待っていて、と言ってもなかなか伝わらないので、一緒に家事をすることで、待たせなくてもいいし、実際にやってみることで理解できたことも多かったですよ。ただ、気持ちに余裕がないとなかなか難しかったかな。」と語ってくれました。
【料理】
ごはんを炊くときに、生米をといて、炊飯器にセット、やけどに気をつけながら、湯気が出てくるのを掌で感じたり、炊飯器が温かくなるのを感じたりしながら、お米が炊きあがるのを待ちましょう。かつて、Rちゃんは、炊きあがるまで何度も炊飯器の蓋をあけて待っていたとお母様から伺いました。冷たく堅いお米が、温かくふっくらとしたご飯になるのは不思議ですよね。そんな不思議体験を味わえる機会になるかもしれません。また、ホットケーキやポップコーンなど、大好きなおやつづくりも楽しくできるのではないかと思います。ホットケーキは、材料を混ぜ合わせているときから、甘い匂いがしてきて、楽しみになります。Kちゃんは、お母様と一緒にハンドミキサーや型抜きを使って大好きなお菓子づくりを楽しんでいます。
ポップコーンは、電子レンジでつくる方法がいいですよ、と既に成人になっているM君のお母様からおすすめがありました。ポップコーン豆30グラム程度をA4サイズの封筒に入れ、口を折り曲げて豆が出ないようにして、600Wで3分程度加熱するだけで、ポップコーンができあがります。1分半を過ぎた頃から、ポンポン・・・音がして香ばしい匂いもしてきます。できあがったら、塩味の他お好みの味付けでいただきましょう。素材の劇的な変化と匂いが楽しめますね。(画像)ポップコーン豆とA4サイズの袋、レンジに入れた袋、膨らんできた袋、袋を開けたらポップコーン、できたポップコーン
ミキサーを使ったジュースも手軽にできるのではと特別支援学校の先生から情報提供がありました。好みの果物と牛乳を用意し、材料をミキサーに入れて、スイッチを押します。
動いているときの音はもちろん、振動を感じることができます。スイッチを入れると振動する、スイッチを止めると動かなくなる、という因果関係をつかむことにもつながります。(画像)バナナジュースの材料、振動を手の平や指で感じている様子
【洗濯】
洗濯する物を洗濯機に入れて、洗濯機の振動を感じて、洗濯機の中から洗濯物をとりだして、干します。乾いたら取り込んで、一緒に洗濯物をたたみます。洗濯ばさみから衣類を外すことに挑戦するのもいいですね。「たたむ」ってこうするんだよ、と一緒にたたんだり、大きな洋服と小さな洋服を比べたりもできるかもしれません。洗濯の一連の活動の中で、無理のない範囲で一緒にやれることをみつけられるといいですね。【掃除】
タオルや雑巾を使っての拭き掃除は、テーブルなど拭く範囲が決まっている場所がわかりやすいと思います。
また、お掃除スリッパを履いて、歩くだけでもお掃除になりますし、手にお掃除手袋や軍手をして(お掃除スリッパをでもいいと思います)、四つん這いやハイハイしてもお掃除になります。
ハイハイでの追いかけっこなどを取り入れて、楽しくお掃除するのもいいですね。軍手や濡れ新聞紙を使った窓ふきもできるでしょうか。(画像)お掃除手袋で床掃除
その他に、プランターの野菜や花にお水をあげることも毎日の日課としてできますね。収穫した野菜を収穫して、料理して、おいしくいただきましょう。お花は香りを楽しむことができますね。
2.楽しく無理なく家遊びをしましょう!
家にある物を使って、ちょっとした工夫で楽しく遊べるヒントをA君ママからいただきました。
①マットレスを使った滑り台の動画
マットレスをすべり台代わりにします。よじ登って、滑り下りて、またよじ登って・・・角度を調整できるのも良さですね。②トイレットペーパーを使ったアスレチックの動画
家の中でできるアスレチックをトイレットペーパーでつくって、探検!
なお、この動画は今から2年以上前のもので、今回、買い占めたわけではないことを申し添えておきます。光が分かるお子さんだったら、部屋を暗くしての光遊びなども楽しむことができると思いますし、風が好きなお子さんだったら、風遊び、音が捉えられるお子さんなら、身近にあるもので音遊びを楽しむことができると思います。
一緒に制作しながら、遊べる物をご紹介します。
①お家でプラネタリウム
ビニル傘に色つきのセロファン、光るシールなどを貼り付けます。部屋を暗くして、懐中電灯などで、下から光を当てると、光が反射してキラキラ光ります。そして、天井には、手作りのプラネタリウムができます。(画像)材料、光を反射してキラキラ、天井のプラネタリウム
②キラキラうちわ
うちわにキラキラ紙を貼り付けたり、シールを貼ったりして、オリジナルのうちわづくり、ペタペタと貼り付けることを楽しんだり、できあがったうちわで扇いで風を感じることもできます。(画像)うちわ(キラキラ紙、シール)2枚
③手作り太鼓
小さい缶の上に風船を被せて、バチは割り箸に紙粘土をつけて、完成です。叩くと、音だけではなく、振動も伝わってきます。(画像)M君が小学生の夏休みに作った手作り太鼓
3.学校での活動を参考にして、ご家庭で楽しんでみましょう!
特別支援学校の先生方から、学校で楽しんでいるもので、ご自宅でも準備が簡単で、楽しめそうなものを紹介いただきました。
①足湯
周囲が濡れても大丈夫な環境を整えて、大きめの洗面器など足が入る大きさの入れ物を用意し、一緒に、お湯を入れていきましょう。ペットボトルなどにお湯を入れておいて、手の平でペットボトルの温かさを感じたり、ペットボトルから出るお湯を手の平で触ったりしながら、容器にお湯を入れていきましょう。最初に、容器の中に足を入れておけば、足にお湯がかかったり、温かくなるのを感じたりすることもできます。②ウォーターベッド
圧縮袋に水や温かい湯を入れて、その上で横になって、水が動くのを身体で感じて楽しむことができます。【準備】
・圧縮袋2枚:いくつか大きさが異なる圧縮袋があります。120cm×120cmの大きさもありますが、水を入れた後の持ち運びがとても大変です。持ち運び可能なサイズを選んで作成すると取り組みやすいかと思います。
・ガムテープ【作り方】
a. 圧縮袋1枚に水を入れ、空気を抜いて圧縮袋の口を閉め、更にガムテープ等で塞ぎ、水漏れを防ぎます。
※手元が不安定なので、空気を抜く時は慎重に行います。空気を抜くことで、袋がパンパンにならず、揺れる感覚を楽しむことができます。
b. 水を入れた袋を、もう1枚の袋に入れます。
※この時に2つの袋の口を互い違いにしてください。
下記の写真では、袋の口の部分は青色です。互い違いにしているので、2辺に青色がある状態になります。(画像)左:35cm×42cm 右:60cm×60cm の圧縮袋
圧縮袋ではなく、手軽に厚めのポリ袋でもできます。
③風船マット
圧縮袋に膨らませた風船やバルーンボール、身近にあるボール等を入れます。風船やバルーンボールに触りながら、膨らむ過程を楽しむこともできると思います。マットの上で、揺れを楽しむことができます。(画像)材料の一例、風船マット
④天井からぶら下がっているのは?
天井等高いところから、ゴムでボールやタオルなどを吊るします。つかまえたり、離したり、引っ張ってみたり・・・繰り返して遊べるかもしれません。(画像)突っ張り棒にゴムをかけ、ボールをつり下げてみました
⑤新聞紙で遊ぼう
新聞紙を破ったり、丸めたり、破った新聞紙をたくさん入れて新聞紙プールを作ってみたりと楽しめそうですね。たとえば、、、
oお子さんと一緒にビリビリと破って遊ぶ。破ったものをビニル袋に入れて、クッション。
o丸めてボールをたくさん作り、段ボール箱に入れて、新聞紙プールにする。新聞紙プールの中に、お気に入りのものを入れて、宝探し。
o新聞紙を広げて、引っ張りっこ!⑥ペットボトルでマラカス
ペットボトルに豆などをいれて、ふたを閉めれば、マラカスのできあがりです。無理のない範囲で、できることをできるときにする」というようなつもりで、参考にしていただければ幸いです。情報提供に御協力いただいた保護者の皆様、ありがとうございました。
厳しい日々が続きますが、情報交換をしながら、乗り切っていきましょう。ご相談や情報提供等、いつでもご連絡ください。
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