お知らせ

第22回研究協議会開催の報告

画像-研究会の看板

 2024年9月21日(土)・22日(日)の2日間にわたり、全国盲ろう教育研究会第22回研究協議会を筑波大学附属視覚特別支援学校(東京都文京区)にて、開催いたしました。5年ぶりの対面に加え、オンラインでの参加も可能としたハイブリッド開催とさせていただきましたが、教職員、研究者、支援者、医療関係者、行政関係者、保護者、当事者など100名程の多様なお立場の方々にご参加いただき、無事に研究協議会を開催することができました。

 「インクルーシブ保育の中での育ち ~盲ろう児(2歳)との挑戦と課題~」と題する実践報告では、大阪府堺市にある社会福祉法人風の馬の地域社会における包括的支援の理念と取組の下、ペガサス保育園つばさに在籍する盲ろう幼児の保育実践について報告いただきました。保護者の思いやお子さんの姿に寄り添いながら、今と先を見据えた実践の積み重ねとその共有、子ども同士の関わり合いの中での盲ろう幼児の確かな育ちの様子や関係者・関係機関との連携など、多くの学びと感動をいただきました。

 情報提供、調査・研究報告では、以下の多彩な報告をいただきました。

・文科省委託事業に係るアメリカ現地調査の報告
・東京都盲ろう者支援センターの事業案内
・国立特別支援教育総合研究所による盲ろう幼児児童生徒に関する調査の報告
・盲ろう指導経験のある教員に関するインタビュー調査の報告
・旅の感動を一緒に ー鎌倉建長寺“さわる”ブロンズ模型プロジェクトの取組ー
・全国盲ろう教育研究会ホームページのリニューアルについて

 ポスター発表では、盲ろう児に関わる教職員や行政関係者からの発表に加え、かつての盲ろう児たちが、高校生や学生、社会人となり、ポスターを発表し、その姿に年月と成長を感じることもできました。

盲ろう当事者のポスター発表

 また、1日目の「みんなで語り合いましょう」では、久しぶりに顔を合わせた参加者の皆さまと、今日までの各校・各地域等での取組や一人ひとりの今現在の様子等、文字通り、語り合いました。そして、東京都盲ろう者支援センター見学グループは、地下鉄に乗って、魅力的な商店街を通って、移転して広くなったセンターへ。センター内を見学し、ブレイルセンスのデモを見たり、盲ろう児支援室の遊具等で遊んだりしながら、あちこちでおしゃべりの輪が広がっていました。

 今回、保護者と一緒に参加した盲ろうの子どもたちは、体育館に設置したエアトランポリンやプレイルーム等で、思い切り身体を動かしたり、散歩を兼ねて近くのスーパーまでおやつを買いに出かけたりと楽しい時間を過ごしました。

 以下、参加者の皆様からの感想の一部を紹介させていただきます。

・海外の動向や福祉の状況についての情報は普段得にくいので、知る機会をもてたことがありがたかったです。

・ペガサス保育園つばさの発表が印象的でした。盲ろうの専門性や知識なども大切ですが、ペガサス様のように目の前の幼児と向き合う姿勢がとても大切なように思います。 難しく考えるのではなく「本人や家族と向き合う」、いかに大切なことか改めて感じることができました。

・盲ろう児の素晴らしい成長は保育園の先生方の尽力もありますが、健常の子どもたちとの関わりが更に成長を促しているのではないかと思いました。とても感動した実践報告でした。

・盲ろうについて周知していくとともに、調査結果を積極的に活用していきたいと思います。

・建長寺の模型プロジェクトは、盲ろう者にとっても、視覚障害者にとっても、健常者にとっても、とても意義深い取り組みだと感銘を受けました。

・ホームページの情報、まだ繋がっていない方、これから生まれてくる盲ろう児の家族に届くと良いなと思います。

・盲ろうの子どもたちがポスター発表するほど成長した姿にとても感慨深いものがありました。 この先も成長がとても楽しみです。

・久々にいろいろな方と再会できたこと、嬉しく思いました。オンラインでは感じ取ることが出来ない、その場の雰囲気や温かさ、小さいころから見ていた子供たちの成長を知ることができました。

・多種多様で盛りだくさんの情報を得ることができ、ありがたかったです。オンラインで参加しましたが、接続がとてもスムーズで聞きやすかったです。

・久しぶりの対面での開催では、実際の発表やプログラムはもちろんですが、休憩時間やすき間時間に同じ立場の方や教育に携わっている方々と交流することができたことが何よりも有意義でした。

 一部の紹介に留めましたが、参加いただいた多くの皆様から、満足度が高く、得られる情報がたくさんあったとの高評価をいただき、運営にあたるスタッフ一同、安堵するとともに、活力をいただきました。

 実践報告をはじめ貴重な情報・調査報告等をしてくださった皆様、盲ろう児者活動プログラムに関わってくださったボランティアの方々や「おくすり相談会」のブースを設置くださった日本調剤の皆様、そして、参加くださった多くの皆様に心より感謝申し上げます。

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